2021年05月25日00:00
第三回 小林不二也さんのコラムを紹介します!
カテゴリー │小林不二也さんのコラム
静岡新聞のコラム
「窓辺」
文/小林不二也
重症児者通所施設でらーと
第三回
「入所式に思う」
重症児者通所施設「らぽ~と」では今春、新たに3人の利用者さんを迎えました。うち1人は15年前に国立病院で開いた療育相談訓練会(在宅親子の憩いの場)に参加していたY君でした。彼の母親が当時話していたことが今でも心に残っています。
それは産後に主治医から言われた一言。「脳に重い障害があり、ほぼ植物状態。命も危ういかもしれない」。それを聞いた母親は病院からの帰り道、運転中に涙で前が見えなくなり、車を脇に寄せて号泣したそうです。
私がY君親子と出会ったのは、その言葉から数年後のことでした。確かに彼の障害の状態は重く、寝たきりではありましたが、呼びかけに対する反応もあり、植物状態とはかけ離れていました。なぜ医師は出産後に絶望を伝えたのでしょうか?
重い病気について、医師が最悪の場合を想定して説明することはよくあることです。訴訟時代といわれる現代、その傾向はますます強くなっているかもしれません。
ただ、親は医師の言葉から、たとえわずかでも希望を見出して生きたいのだと思います。丁寧な説明と寄り添いで、絶望だけを伝えることは避けられると思います。
このエピソードは人を支援する仕事にとって、とても貴重な教訓です。入所式で、母親から職員に当時の話をしてもらいました。入所したY君は現在18歳。元気に歌を口ずさみながら自力で車いすを押し、施設内を走り回っています。彼の今後に夢を感じます。
「窓辺」
文/小林不二也
重症児者通所施設でらーと
第三回
「入所式に思う」
重症児者通所施設「らぽ~と」では今春、新たに3人の利用者さんを迎えました。うち1人は15年前に国立病院で開いた療育相談訓練会(在宅親子の憩いの場)に参加していたY君でした。彼の母親が当時話していたことが今でも心に残っています。
それは産後に主治医から言われた一言。「脳に重い障害があり、ほぼ植物状態。命も危ういかもしれない」。それを聞いた母親は病院からの帰り道、運転中に涙で前が見えなくなり、車を脇に寄せて号泣したそうです。
私がY君親子と出会ったのは、その言葉から数年後のことでした。確かに彼の障害の状態は重く、寝たきりではありましたが、呼びかけに対する反応もあり、植物状態とはかけ離れていました。なぜ医師は出産後に絶望を伝えたのでしょうか?
重い病気について、医師が最悪の場合を想定して説明することはよくあることです。訴訟時代といわれる現代、その傾向はますます強くなっているかもしれません。
ただ、親は医師の言葉から、たとえわずかでも希望を見出して生きたいのだと思います。丁寧な説明と寄り添いで、絶望だけを伝えることは避けられると思います。
このエピソードは人を支援する仕事にとって、とても貴重な教訓です。入所式で、母親から職員に当時の話をしてもらいました。入所したY君は現在18歳。元気に歌を口ずさみながら自力で車いすを押し、施設内を走り回っています。彼の今後に夢を感じます。
コメントありがとうございます。公開までしばらくお待ちください。